Geo Story
地球目線で考える日本茶
Green Tea as a Geo Gastronomy


日本茶は大地の雫
日本茶は日本各地で、その土地ごとの特性を活かして栽培されて来ました。
特に山間地域では、茶樹の生育に適した水捌けの良い傾斜地で栽培され、香味に優れた茶が生産されています。
山間地は斜面ゆえに日光に当たる時間が短いので葉が柔らかくなるなど、高品質な茶ができると言われています。
また、火山灰の豊富な台地は茶樹の生育に適しており、長い期間をかけて栽培の歴史が紡がれて来ました。
他にも山から平野にかけておろしと呼ばれる風が吹く地域や河川敷の平坦な砂地など、その地理的条件を活かして個性のある日本茶が作られて来ました。
湯を注げば香りと滋味が楽しめる日本茶は、こうした変化に富む日本の大地がもたらした恵の雫だと思います。
自然と人が織りなす多様性
日本茶の魅力はその土地の条件だけではなく、生産者の工夫や努力、茶師による「合組」と呼ばれるブレンドなど、さまざまな人の手が加わって形作られています。
また近年、日本国内では特徴的な香味を有する品種を使って、単一品種単一畑、いわゆるシングルオリジンのお茶として楽しむ動きも広がって来ています。
日本茶には抹茶、煎茶、焙じ茶などの種類がありますが、その種類それぞれに多様な魅力が詰まっているのです。


日本の軟水とジオ・ガストロノミー
美味しい日本茶を入れるためには水が重要です。
日本は雨が多く、急峻な地形で、透水性が高い火山性の地層であるため、ミネラルが少ない軟水になります。
軟水は茶葉から成分を抽出しやすく、まろやかな舌触りの日本茶には欠かせない存在です。
さらに日本では古くから一服のお茶をもてなすために、より美味しい名水を遠くから運んで茶を入れるという文化があります。
まさに日本のジオ・ガストロノミーの根底に通じる部分ではないかと思います。
これからの日本茶
日本人にとっては、日本茶はあまりにも身近すぎてその奥深い魅力に気づき辛い飲み物だったのではないかと思います。
しかしながら、食の多様化が進み、必ずしも身近ではない存在になることで、逆にその魅力を認識しやすい環境になってきているように思います。
日本茶は日本の食文化を語る上では必要不可欠な存在です。私は改めてこの日本茶と日本茶をめぐる魅力を伝えていきたいと思います。
