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Satoyama Gastronomy in Hida  

Geo Story  

Satoyama Gastronomy in Hida
山と共にある飛騨の食文化
- 雪国ならではの先人の知恵- 
 
 

 
山の国、飛騨の国

「飛騨」とは、岐阜県北部にある高山市、飛騨市、下呂市、白川村の3市1村を指す地域名です。岐阜県が飛騨と美濃の国に分かれていたときの国名でもあります。
 
飛騨高山の古い町並みや白川郷の合掌造りなどで有名なこの地域は、面積の約98%が森林であり、また冬の寒さは大変厳しく、雪が多いことで知られています。
その様な環境下で、飛騨には、食糧が全く手に入らない冬を越し、無駄なく食料を保存する雪国ならではの食文化が生まれました。
 
さらに、飛騨山脈に代表されるような険しい山々に四方を囲まれ守られたかのように、その独自の食文化が現在も色濃く継承されています。

種を守る営み「飛騨の漬物」

飛騨と言えば漬物。1年の三分の一を雪に閉ざされ厳しい寒さの中で暮らす飛騨の人々にとって、漬物はなくてはならない大切な保存食です。赤かぶの「しな漬け」、白菜の「きり漬け」が代表的ですが、各地域、各家庭で様々なレシピがあります。
 
材料に欠かせないのが飛騨の赤かぶ。普通のかぶは丸いものが主流ですが、飛騨の在来種には人参のような形の長細いものもあるのが特徴的で、中でも種蔵紅かぶは、他と交配しないよう地元の方々が種も守りぬいています。

 
 
 
 
 
 

保存食の知恵「寒干し大根」

寒干し大根も冬の間に作られる保存食のひとつです。氷点下まで気温が下がる1月~2月頃に、大根を輪切りにして串に刺し、軒先で乾燥させます。 夜に大根の水分が凍り、昼の暖かさで融けて抜ける、それをいく日も繰り返すことで、自然の旨みと甘みが凝縮された大根になります。冬の冷え込みが厳しい飛騨だからこそ作れる保存食です。
寒干し大根の食べ方は様々で、お味噌汁の出汁として使われたり、煮物の具材に使われたり、漬物として付けられたりします。

春のごっつぉ「山菜」

飛騨の人々は春先になると山菜を採りに山へでかけます。山菜といっても種類によって少しずつとれる時期が違うため、頃合いを見計らって。よく知られているわらびやぜんまいを始め、こごみ、こしあぶら、ゆきのした、うど、もみじがさ、姫竹・・・ 春、高山の朝市へ赴けばきっと数多くの山菜が並んでいることでしょう。山菜は基本的に虫などから自分を守るためアクの強いものが多いですが、寒さが厳しく雪の多い飛騨では虫がつきにくく、アクの強くない山菜が多いです。
山と共にある飛騨の暮らし、雪解けの遅い飛騨には欠かせない春のごっつぉです。

 
 
 
 
 
 

正月、お盆の風物詩「こも豆腐」

こも豆腐とは、豆腐を藁で編んだ「こも」に包んで煮込み、豆腐の水気を飛ばして保存が効くようにした豆腐のことで、表面のたわら模様が特徴的です。こも豆腐は、煮込むことで「す」と呼ばれる無数の穴があき、味がしみ込みやすくなっています。
飛騨では昔からお盆や正月の御馳走として親しまれてきました。

重宝される「あぶらえ」

「あぶらえ」とは、飛騨の方言で「えごま」を意味します。古くから食材としてはもちろん、また油を多く含むことから燃料や家で木材を磨く際にも重宝されてきました。
飛騨のあぶらえは、標高が高い寒冷地で育つことにより養分がギュッと実につまり、栄養価が大変高いとされています。
飛騨ではこのあぶらえを、味噌や醤油とあえて、五平餅や焼餅につけたり、煮た青菜やじゃがいもにあえて食べるなど、「あぶらえあえ」のレシピがたくさんあります。

 
 
 
 
 
 
 

サステイナブル食「朴葉寿司」

朴葉寿司とは、朴の木の葉で、鮭や鱒を混ぜた酢飯を包んだ飛騨の初夏を代表する料理です。朴葉は、殺菌効果があるといわれ、手も汚さず食べられることから、農作業や山仕事の携帯食「こびる」として作られたのが始まりと言われています。
 
酢飯の上に具材を並べるものや混ぜこむものがあり、また入れる具材も地域や家庭によって異なり、さまざまな味が楽しめます。山や畑で食べたあと、朴葉もそのまま捨てられるので、サステイナブルな知恵ともいえるでしょう。
 
山国飛騨では、昔から自然に生かされる暮らしをしてきました。それが今も食文化として色濃く残っています。
 
サステイナブルな暮らしが求められる今、飛騨の暮らしがこれからの世界のヒントになるかもしれません。

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